集中治療部の西山聖也医師の研究がNeuropsychopharmacology reportsに掲載されました。

これまでに、多くのICU患者で睡眠の分断や昼夜逆転といった睡眠障害が生じやすいことが示されていますが、そのメカニズムはまだ十分に解明されていません。神経ペプチドの一種であるオレキシンは、睡眠覚醒サイクルの調整に関与しており、健常なボランティアでは脳脊髄液中のオレキシン濃度に周期的な日内変動があることが確認されています。

本研究では、心臓血管外科手術に際して対麻痺の予防を目的にスパイナルドレーンが挿入されたICU患者を対象に、脳脊髄液中のオレキシン濃度を定期的に測定し、その動態を調べました。対象患者ではいずれも周期的な日内変動は認められず、そのうち1名が観察期間中にせん妄を発症しました。

本研究は、ICU患者の睡眠障害のメカニズム解明に貢献する可能性を秘めています。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/npr2.12504